2002年3月27日日本万国博覧会記念協会より
エキスポタワーの解体が発表されました。
2002年の夏から2003年春にかけて作業が行われるそうです。
エキスポタワーは別項でも触れていますように 悲運のタワーでした。
ここでは できるだけ当時の写真を集めてみました。
しかし公式記録写真集や記録写真集にはあまり写真がないのです。
また当時の雑誌にも驚くほと゛取り上げられていません。
これは 予算削減による再三の設計変更があり開幕寸前まで
オープンが遅れたためでしょう。それでは公式記録を元に
エキスポタワーを振り返ってみましょう。
エキスポタワーと付属施設
工事の板要 エキスポタワーは、シンボルゾーンの南端の丘
海抜65mで、会場で最も高い)に立つ展望塔で、上部に2層の
展望台があり、会場全体を一望できるとともに、会場周辺の
道路や鉄道などもながめられた。
また、報道関係や警備誘導関係の無線中継基地にも利用した。
塔の高さは120m、最上部の避雷針の先端まで127mであった。
地上65mから70mの間に設けた展望室は鋼管と球を
組合わせた直径約10mの54面体であった。
塔の構造は大屋根の構造に対応し、3本の鋼管(径500mm)を
組合わせた柱3本を、一辺10m80の正三角形に配置し、
これに長さ10m80の鋼管(径330mm)を相互に正三角形に
結びつけた立体トラス構造であった。
鋼管の紬手部分には、鋳鋼製中空球(径500〜850mm)を使い、
将来、任意の方向にフレームを動かすことができるようにした。
塔の昇降は、中央部に設けた2台のエレベーターと、
鉄骨階段を利用した。
塔の鉄骨重量は約1,000トンで
このうち鋳鋼製球の重量は約100トンであった。
塔の建設は、地上40mまではP&H9125を使用し、
それより上部は塔中央部にタワークレーン
(能力10m×17トン)を設置して工事を進めた。
また最終段階では柱の上にジブタレーンを設置し、
タワークレーンの解体にも利用した。
トラスを構成する各フレーム材は、すべて地上で組立て、
ユニット化したあと塔に取付けた。
また展望室も地上で組立て、アルミニウム鋳造の
外壁アルキャスト施工後、塔の上部に運んで設置した。
これらの建設方法は、未来の高層住宅建築の一つの
方向を示すものであった。
基礎は深確工法で行ない、柱1本あたり直径4m60の
鉄筋コンクリート柱を打った。深さはGL(標準地盤)
30m、確底径は9mとした。
規模・構造 エキスポタワーと付属施設の規模と構造
構造 基礎=深礎工法(深さ30m)。柱脚=鉄筋コンクリート。
主体=鉄製パイプに立体トラス構造。
階敷 地上13層(39階分)、地下3層(2階分)。
面積 上部構造=993平方で正(オブザベーションデッキl15平方m、
同外部219平方m、従業員室18平方m、5レベーター機械室175平方m、
場内監視室4平方m、適信室146平方m、
特別室18平方m、内階段38平方m、列階段169平方m、
通路踊り場91平方m)。下部構造=208平方m、
パラボラアンテナデッキ115平方m、
階月208・24平方m、テラス1,639.13平方m。
設置レベル 海抜64m60。
高さ120m(標準地盤から避雷針先端まで127m40)
標準地盤面から基嘩下部まで30m。
会場展望塔、ランドマーク(位置標識)、無線塔。
展望デッキ、特別室、場内監視室、無線・放送室。
冷房設備(機械室、特別室のみ)、給排水衝生設備、
電気設備、消火設備、避雷針設備、昇降機械設備2基
(速度毎分180m、定員1基30人)。
展示工事内容ITV音響設備工事、照明設備工事、
家具備品関係工事、写真パネル工事、建築工事。
計測装置 地震計測装置4台、風圧計6台、動ひずみ
測定器1台、風向風速計1台、記録装置1台。
工事の経過 エキスポタワーは、当初計画では
入場者に対するサービス提供とともに、会場建設期間中の
見学者の便宜をはかるため、42年度中に施工の予定であった。
また、施設参加が得られれば、高さ350〜400mの大展望塔を
建設する計画をたてた。
しかし、42年6月ごろ、三菱グループから施設参加の
申込みがあったものの、諸般の状況から施設参加を断念、
42年8月の常任理事会で、42年度国庫補助事業(7億5000万円)
として建設することに決めた。
この結果、塔の規模は予算的に150m前後の高さしか
期待できなくなり、同理事会は塔の建設方針を次のように
決めるとともに、早急に建設工事を始めることにした。′
@塔の機能 ランドマークとしての意義を明確にし、
シンボルゾーン南端のアクセントにするとともに、
娯楽地区内の諸施設および管理施設との関連から一体的に
運営できるものとする。
A塔の規模 予算と機能からみて、適切な高さと容積のものとする。
B設計と建設 設計については、建設顧問および丹下基幹施設
プロデューサーの意見を聞き、設計者を選び、42年度中に着手する。
これらの方針に基づき、塔の高さ、構造などの基本構想および
設計者の選定問題などについて、建設顧問や丹下基幹施設
プロデューサーらと協議を重ね、42年12月26日から
ようやく実施設計に着手した。
実施設計は43年2月29日に完成し、同年3月下旬に
工事の入札をしたが、特殊な構造物の工事であるところから、
発注者と応札業者との間に意思の疎通を欠き、さらに
発注を急いだため設計積算上の一部手違いがあったことなどが
原因で、すぐには建設工事施工業者が決まらなかった。
このため、設計内容を再検討し、一部の構造を変更して
施工業者を決め、43年7月26日から建設工事に着手した。
この間、43年1月18日から2月10日までの間に地質調査を行なった。
この工事は、高台に100で正以上の塔を建設する特殊工事のため、
地盤構造の正確な掌握、基礎工法の決定、高層組立て用の仮設資材
・機械の試作および調達などの準備野間に相当の日数を要した
ことなどから、当初の計画よりかなり遅れて工事を始めた。
しかし、工事そのものはほぼ順調に進み、45年2月28日に完工した。
2000年8月20日 NHKアーカイブスで昭和45年2月に放送された
エキスポタワーの建築を一人の鳶の親方を通じて描いた
ある人生・万博とび頭が30年ぶりに公開されました。
嶋田雪雄さんというとび職の親方の指揮の元 全国から
集まった鳶たちがこの大きなタワーを建造していく
ドキュメンタリーです。地上100mのパイプの上を命綱も付けず
ひょいひょいと移動する職人さんをみているだけで こちらも
身震いしそうです。
この貴重なフイルムを完全な状態で保存されていたNHKに対して
感謝の気持が一杯です。できるならビデオ化して欲しいものです。